5月某日、百合文化研究会はゼロ年代研究会と合同で、『魔法少女まどかマギカ』の鑑賞会を行いました。
その時に、「まどマギ」の感想を語り合う座談会も行いました。その様子を、何回かに分けてお送りしたいと思います。今回は、「まどマギ」は「百合アニメ」か?という問いを手掛かりに、「百合」の真髄を知る者と知らない者の間で、「百合アニメの認識論」についてゼロから百まで掘り下げていきます!
前々回
【百合文研×ゼロ研】「まどマギ」座談会①心中と百合とゼロ年代 - 京都大学百合文化研究会の研究ノート
前回
【ゼロ研×百合文研】まどマギ座談会②まどマギの作品構造―まどマギ世界における「責任」の変化と『ファウスト』イメージ - ゼロ年代研究会
登場人物
レニ【レニ】:百合文研の立ち上げ人。百合がなんもわからんになっている。
ちろきしん【ちろ】:テン年代に裏切られ続けた絶望から魔女になり、ゼロ研という結界を作った。
146B【いし】:百合文研の一番槍。漫画評論サークル会長の弁舌やいかに。
だち【だち】:百合文研の参謀。百合漫画だいたい持ってるマン。
すず湯【すず】:百合文研にして座談会の紅一点。「まどマギ」のカバンで参戦。
ゆぅら【ゆう】:ゼロ研からの刺客。哲学とセカイ系に領域展開。
やまぴ【やま】:ゼロ研からの刺客。ゼロ年代の魔女の使い魔。
「まどマギ」の「百合アニメ」性
【レニ】「まどマギ」は百合アニメか否かという話に移りましょう。今回の鑑賞会、まず1話から9話を見て、翌日に12話までと映画を見ましたが、その時に「まどマギ」の「百合アニメ」性に関して、皆さんがどういう認識をされていたのか聞きたいです。まず、百合アニメに造詣のなさそうなちろきしん君、どうですか?
【ちろ】まず僕は百合を「百合」として見れないというか、何が「百合」なのかっていうのが自分の中での確固たる確信が無いんですよね……。なので何故君達が「百合」に拘っているのかよく分からない。
【ゆう】同じです。
【ちろ】わけがわからないです。
【やま】キュウべぇかよ。
【レニ】じゃ次百合の人たちに話を聞きますか。ほむらの感情が明かされていない1話から9話と、ほむらの感情が明かされた10話以降でだいぶ印象が変わると思うんですが、だち君はそのあたりで認識の変化はありましたか?
【だち】うーん……1話から9話までを見て、百合アニメというか、百合だけを押されたら不安が残りますね。1話から9話の時点では、ほむらの動きが確定していないというのもあって。でも、どういう存在なのかはずっと仄めかされていて、気持ちが漏れるシーンもあるじゃないですか、あの描写からは、まあ察することはできる、という。
【やま】百合を察する……?
【いし】言いたいことはわかる。僕も「まどマギ」は百合アニメであるという認識はしてるんですけど、それは10話以降の展開を知った上で百合だと思ってるんですよ。
【レニ】9話まではそうではないと。
【いし】明確な描写を避けてるじゃないですか。なんなら上条恭介という男がいて、彼とさやかとの関係性を描いたり、明確に女と女だけではない。百合だと言い切るには不純物が多いというのはあるので。
【ちろ】不純物!?
【いし】百合100%って言ったら違うじゃん。
【やま】百合って男がいると百合にならないんですか?。
【いし】物語の中心にさやかの恋愛の話があれば、明確に百合ではないかなと。
【レニ】色んな要素が混じっているから、その百合アニメと称するにはちょっと疑問符が付くっていうことですね。そのあたりすず湯さんとかどうですか。
【すず】でもやっぱり恭介ってただの舞台装置じゃないですか。
【レニ】最初から一貫して女女関係を描いているっていう事も、まあ言えますね。
【いし】ほんとになんかね、なんか身勝手な男……
【だち】自分が「まどマギ」が百合と断定するに至るのは、10話以降でほむらとまどかの気持ちが結局あの世界を構成しているというのが明かされて、作品全体の一貫性を理解するからで、要するに作品内で関係とか感情とかがどれくらいのウェイトを占めてるかなんですよ。だからその点において1話から9話までは、これを百合として推すかってて言われると違うなと感じました。
【レニ】じゃあそれ以降見たら百合として推せるということ?
【だち】まあ推してもいいですね。
【やま】推してもいい……。
【レニ】なんなんだその距離の取り方は……。
【だち】何だろう、多分これは百合として認識してなかった自分から百合として認識する自分への変化を自分で受け止めてまだいないということではないでしょうか。要するに自分自身の「まどマギ」観のアップデートができていないということです。
杏子とさやかの関係
【やま】質問なんですけど、杏子とさやかの関係っていうのは百合に入るんですか?
【いし】それは僕も悩んでる。百合知ってる人でもあれは悩むと思う。映画だって、あくまで杏子からさやかへのクソデカ矢印があるのであって……。
【やま】えっ、これ片方のクソデカ矢印だけだったら百合になれないんですか?
【いし】それだけを証拠に百合という人もいる、みたいな感じ。
【やま】僕は1話から9話までを百合って呼ぶかって話で、杏子とさやかの関係があるから百合かなって思うところがあったんですけど。一緒に死ぬって愛じゃないかなって。杏子の一方的な行動ですけど、一方向のそれだけクソデカい矢印があったらもう百合かなって思いました。
【いし】いーや分かるなあ。
【ちろ】希望よりも熱く、絶望よりも深い、愛。
【いし】それは話が違うからね?
【レニ】クソデカ矢印があれば百合、と。
【いし】さやかが魔女化する時に側にいたのも杏子だしね。そういったところ何か思うところあるよね。
【やま】杏子の境遇を考えると、一緒に死ぬ、になるのかもしれない。ずっと一人だっていうのがあるから、本当にさやかしかいないってなってるから。
【すず】杏子からさやかの執着、杏子の挙動が完全にさやかが好きな子のそれですよね。最初に会った時から。
【ゆう】確かに…好きな子にちょっかい出してるのかやっぱり……。
【いし】好きな子にちょっかい出すのが殺し合いになるかよ!
【すず】もうちょっと具体的に言うなら、杏子にとってはやっぱ、自分が捨ててしまった正義を貫こうとしているさやかが、自分が捨てた物を無邪気に掲けてる人間が、気になると言うか目障りと言うか、気になって仕方がないっていう、その関心の向き。あと、最後の方になると杏子にとってさやかは希望ですよね。希望にすがって杏子は無理心中……。無理心中なのかなあ?
【いし】やっぱりさやかから杏子への矢印がうまく見えてこないんですよね。さやかにとって杏子はちょっかい出してくるやつだから。
【やま】でもそれは映画のところであの、なんか、あー……ってなった。
【ゆう】最初嫌なやつ嫌なやつ嫌なやつで、その後に誤解してたごめんってなって、魔女化して、その後拒絶してて、劇場版はてえてえじゃないですか。
【やま】最後杏子からの矢印だけで終っちゃってたのが、映画でさやかが返してくれた、その心残りというか、あーあれが百合なんですね。
【ちろ】双方向性がなかったら百合ではないんですか?
【いし】僕はあると安心するだけで、なくても百合ではあると思います。それはね、関係性がより強固なものなので。1本の糸で繋がるより2本の糸で繋がった方が綺麗じゃないですか。
【ゆう】おーすごい詩的なこと言う、すごい良い。
【レニ】縦の糸は貴女、横の糸は私……。
「百合」って、何?
【ちろ】女性と女性じゃないと百合じゃないっていうのは分かった、双方向じゃなくても百合というのも分かった、でも、女性が女性のことを好きってだけで百合になるの?
【すず】百合じゃないんですか?
【いし】百合ではあると思う。
【だち】広いのでそこら辺をどう扱うかは人によって違うとしか。まあ広いのでとりあえずそれは百合という概念に放り込んでかまわない。
【レニ】「百合」、って何?概念?関係?
【いし】それは描きかたとか作品による。それがサブストーリーとして描かれたら凄い判断に困るんですけど、その感情を主においていた場合、それは百合です。それは作品によって違うので、境界例になります。
【レニ】「それは百合」っていうのは作品がってことですよね。
【いし】作品に対してです。矢印だけを称して百合というのは僕はなかなか厳しいなと思うところで。断言しづらくってすごく。そういったのはキャラクターコンテンツとかでよくあるかもしれないけれど。その作品に触れたうえで、そういった矢印がどういう作品内でどう扱われているかというのを僕は重視してます。
【レニ】その性質というのは「百合」という言葉でしか表現できないものですか?いろんな女性同士の関係を表す言葉って、友情とか恋愛とかレズビアンとか、色々あるじゃないですか。僕の得意な女学校の話するなら、S とか言われてたわけだけど。それでもなく、百合という言葉でしか表現できない何か。
【いし】百合という言葉でしか表現できない何か、ってすごく難しくないですか?
【だち】自分はそこは、未分化と言うか、その感情を名付ける前の、まだどの感情に属するかを決めかねている状態が百合だという認識です。
【やま】そうなの!?
【だち】多分、確かに分かれた時点では、その感情がはっきりした時点ではそれに名前をつけてしまうことも出来ますけど、感情って不定な、すぐコロコロ変わるものでもあるから、その感情全体というか、未分化だとか不定形だとか、そういう事を考えた呼び方だと思います。
【ゆう】あー。すごくしっくりきてしまった。百合に疎い自分が言うのもなんだけど。名指しっていう我々の通常の社会規範を逃れるその以前のものとしての百合、それはまさに社会規範からの逸脱であり言語というものの以前の萌芽的なもの。なるほど。
【やま】(スマホで調べながら)百合の定義を初めて見たんですけど、「複数の女性の間の何らかの関係性およびそれを描写するもの」……何らかの関係性って。
【いし】それはね、反例を出来る限り出さないためのあいまいな定義だから。
【やま】でもとにかく広い……何らかの関係性……。
【ゆう】ちなみに僕はほむらと杏子の関係に微妙な良さを感じてしまうんだけど。あのビジネスライクな関係。
【すず】分かります。
【ゆう】ワルプルギスの夜に立ち向かう時も、「叛逆」の映画でも、「あなたはバカじゃない」っていう一定の信頼があるんですよね。戦士同士の絆みたいな。そういうところに良さを感じてしまうのは百合なのかな。どうですか百合の方。
【すず】百合です。
【ゆう】百合ですか。
【すず】私、ほむらとマミも好きなんですよ。
【ゆう】あ~いいっすね~。
【すず】「叛逆」が凄すぎて。ほむら側からの矢印が他の所に向かうっていう。
【レニ】「叛逆」は百合アニメ……というか百合映画だという認識は、ゼロ研の人たちは共有してるんですか?
【ちろ】百合って何なのかやっぱよくわかんないです。
【レニ】ちろきしんは共有してなさそうですね。
【ちろ】ぱっと、これは百合だ!という感覚が僕の中にないです。僕もヘテロラブ作品に出てくる女同士の関係みたいのは好きなんですけど、なんだろうな。
【レニ】「これは百合だ」って名づけるような感覚が受け手の中に有るか無いかって問題なんですかね。
【いし】ゆぅらさんどうですか。
【ゆう】いや何か、皆さんの言ってることは結構わかるんですが……。何というか、僕は百合は「やが君」を通じてしか分からないんだけど、「やが君」の良さは分かるんですよ。でもあの良さとはちょっと違う気がするんだよね
【だち】作品全体を見るか、キャラクターを見るか、みたいな違いかな?
【ゆう】こういう言い方かな。女の子同士の良さはめっちゃ分かる。でも、「百合」ってパッケージされるものの良さはいまいちよく分からないって感じ。だから「まどマギ」が百合的かって言われると、分かんないってなる。そういう感じ。
【いし】百合はあくまで付加価値だから。
【レニ】百合を見出せる人と見出せない人の差がありそうですね。
野生の百合、庭園の百合、自家栽培の百合
【いし】僕はその違い、ストーリー重視かキャラクターの感情重視かだと思うんですけど、どうなんだろう。
【すず】私はもうほぼ100%感情なんですけど、何でしょうね、ストーリーで中心的に描かれる感情ももちろん百合ですし……何でしょう。画面の端っこにある百合は百合じゃないのか問題、ありますよね。
【やま】な、なにそれは。
【ゆう】自分の中で似てるなって感覚があって。僕は「叛逆」見る時に、ほむらちゃんの感情にすごい焦点を当てちゃうんですね。それって、物語の構造と密接に関わってるじゃないですか。でも杏子とさやかの関係って、ぶっちゃけどうでも良いというか、ストーリーの錯綜線じゃないですか。つまり、ストーリーの本線の百合と錯綜した百合というか、整備された百合と野放図な百合があるのかと。
【やま】野生の百合……?
【レニ】で、そういう野生の百合がもっと欲しいって人が、同人誌として自分で育てるんですかね。
【だち】野生の百合と庭園の百合と自家栽培の百合がある。
【ちろ】たまに違法なものが出て来る。
【レニ】野生の百合と本線に絡む百合っていうのがあるとしたら、百合を野生の方に見出す人と、本線の百合の方を重視する人では、立場というか認識の違いがありそうだなって気がするんですよね。
【やま】「叛逆」が誰にとっても百合作品っていうのは多分その、整備された百合だからってことですよね。誰も何も言う余地がないというか、もうこれは百合だよって提示されてる。でも、百合をまどマギの1~9話に見出すかは人それぞれで。
【レニ】本線では書かれてないから1話から9話だけ見ると、杏子とさやかの関係に百合を見出せる人は百合だというし、そうでない人は不純物とか言い出す。
【いし】それ化学的な捉え方の比喩で……。
【やま】わかるよ、嫌なイメージはないってことだよね。
【レニ】似たような話で僕の想起したのは「セーラームーン」なんですけど。「セーラームーン」にはセーラーウラヌスとセーラーネプチューンという公式カップリングみたいなのがいるんですけど、主人公はセーラームーンなわけですよ。で、ウラヌスとネプチューンの話をもっと欲しがる人は、百合を栽培してコミケで売ってるわけですよね。「セーラームーン」は百合アニメかって言った時に、認識が分かれてくるのかなっていう印象が、実感ではしてます。
【ゆう】なるほど。
【すず】「セーラームーン」は確かに百合じゃない気がする。
【レニ】「セーラームーン」は百合ではない……それはなぜ?
【すず】なぜ……あまり見たことないからあんまり言えないけど…………いや実際に見たら「セーラームーンは百合」とか言い出すかもしれない。
【やま】これは見出す人の感じですね。
【やま】結局、ゼロ研の人たちがゼロ年代を見出すかどうかにもちょっと似てるような部分はあると思いますよ。
【ゆう】多分ちろきしん君が、だと思う。
【ちろ】だって何見ても勝手に見えてくるんだもん。
【いし】結局嗜好の違いとかそういうところにあるんだろうな。
【ちろ】確かに僕は特に定義もせず「ゼロ年代性」という言葉を使っている……。
【いし】僕は作品を見ながら、百合はどこに散りばめられているかずっと探しながら読んでますね。フィルターとして最初に「あるかないか」っていうのが掛けられます。
【すず】あー。
【だち】あるある。それはある。
【いし】多分ちろきしんさんの場合は、ゼロ年代性があるかないかというフィルターを最初に作った上で、作品をそれを通して見てるんだと思いますよ。
【だち】自分は基本的にその、百合と言われる作品をずっと追って、追って百合を読み続けてきたので、やっぱりフィルターは抱えます。
【すず】百合か否かを品定めするというよりは何か、普通に漫画読んでたら、突然女女感情が出てきて、うおーみたいな。突然百合が来たみたいな。
【レニ】僕もそれはある。
【すず】でも別にそれが百合漫画というわけではなく。
【レニ】ではなく?
【すず】そういう認識になるわけではなく、この漫画に百合が出てきたなって。
【レニ】それを作品全体に敷衍してこれを百合漫画だと言うことはしないんですね。
【いし】やっぱりフィルターに途中途中で引っかかっても、全体を通して引っかからないとなっていう。本筋に絡むか否かですね。
【すず】それ考えると「まどマギ」は徹頭徹尾どっからどう見ても百合なんですよね。
【レニ】確かに僕も1話から9話を見た時に「これを百合なのか?」ってクエスチョンだったけど、最後まで見るとテクストとして一義的にずっと描き続けてるなっていうのが分かって、確かになって思ったんですよね。
【すず】まあ私は1回見てるので、2回目だと色んな感情が補完されてて、全部最初から百合だったんだっていう。
【だち】自分も漫画から入ってたので大まかなストーリーを把握してたので、アニメ見ながら普通に、初見でしたけど、あっここ伏線なんだなみたいな感じだと思って。
【いし】わかるー。同じことやってた。10話で判明するクソデカ感情嗅ぎ当てちゃうじゃん、1話から9話。
【ちろ】警察犬かな?
「まどマギ」の百合ラインについて
【ゆう】やっぱ気になるのが、「やが君」と「まどマギ」の女同士の関係性が全然違う気がしてて。あるいは「マリみて」「やが君」ラインと「まどか」ラインは全然違う感じがしてて。百合文研の皆さんが、「まどマギ」を百合の中でどういう百合感情に位置づけているのかが知りたいな。
【いし】「やが君」自体が特殊な気がするんだよな。
【ゆう】あっそうなんですか?
【やま】あれは特殊なんですか?
【レニ】「やが君」は「百合姫」の作ってきた百合漫画ラインにKAD●KAWAが便乗したんやろ?
【いし】ビジネス的なラインで言ったらそうかもしれないけど!
【ちろ】僕「やが君」の印象としては、なんか一般的な単線型ラブコメって言うかさ、この子とこの子が結びつくって決まってる単線型のラブコメをただ百合にしただけみたいな感じなんだけど。
【レニ】おっ戦争か?
【ゆう】僕の目線だとね、「やが君」から何か、「支配と従属」みたいな影が透けて見えるんだよな。
【やま】支配と従属!?
【ゆう】まだ言語化できてないんだけど。自分の言語化を越えてきたんだよ、「やが君」。
【いし】百合の中には友情からくる独占欲とか普通に描かれるので、そういったものと近しいものはたくさんあると思います。
【ゆう】あーそういう、なるほど失礼。
【だち】それ自体は特殊なものではなくない?
【いし】それはそう。「まどマギ」は別に始めから突き抜けた感情を描いているから、それは違うかもしれない。
【ゆう】別の聞き方をすると、「まどマギ」に類似する百合作品ってあるのかなっていうのを聞きたい。まあ感覚でもいいんだけど。『紫色のクオリア』っていうラノベがあって、それと似てるっていうのは、昔読んでて思った。
【ちろ】確かにあれそういや百合やったな。たしかにあれ「まどマギ」ラインだよね今考えると。ごめん今ゼロ年代研の文脈に無理やり回収しちゃったけど。
【レニ】ラインが見えないんだよなぁ……。
【ゆう】皆さんの「まどマギ」に感じる百合に近い百合の感じって何かあんのかなって。
【すず】『ユリ熊嵐』とかですかね。
【レニ】あー確かに。幾原邦彦ラインはそうかもしれない。「ウテナ」まだ全部見てないけど。
【すず】「ウテナ」ショッキングなアニメですよね。
【だち】なんていうか運命共同体みたいなところまで行っちゃう百合はなかなかない気がしますね。
【レニ】多分「まどマギ」のベースにあるのは「セーラームーン」系の魔法少女アニメで、魔法少女アニメのベースにあるのはホモソーシャル性というか、一緒に戦っていこうみたいな繋がりで、そういうのは、今までの百合漫画が歩んできた少女漫画的な男女の恋愛とか少女の友情とは違うのかなって気はする。
【ちろ】「まどマギ」って「セーラームーン」とか「プリキュア」みたいな、いわゆる女子アニメを深夜アニメの世界に輸入したみたいな感じだと思うんだよね。女子アニメのガワだけ深夜アニメに持ってきた。
【いし】コンセプトだけ持って来てそれを逆手に取る前提だったのかな。
【ゆう】感覚的にはうめ先生、今でこそ「まどマギ」の人だけど、当時は『ひだまりスケッチ』の人だったからさ。ガワが『ひだまりスケッチ』で中が虚淵。
【いし】美しいバラのトゲが鋭すぎるんだよなぁ……。