【布教企画】「私達の選んだ1コマ」大賞2023 下

それぞれの会員の「私の選んだ1コマ」2023

前回の続きです。早速本編行きましょう。①は以下のリンクから。

ku-yuribunken.hatenablog.com

 

 

白雪の選んだ1コマ:「エクストリーム帰寮」

カーディナル会長のX(旧twitter)より。

 京都大学自治寮・熊野寮では毎年12月、熊野寮祭というものが開催されます。その中で寮から自動車で1時間ほどのところに連れていかれ、必要最低限の持ち物の所持のみで歩いて帰寮するという「エクストリーム帰寮」というイベントがあります。

 今年、会長以下百合文化研究会の1回生の多くはこのイベントに参加していたのですが、私が選んだのはそのイベントにおけるカーディナル会長のツイートです。そう、会長は30時間くらい歩いて帰らないといけないのに、このイベントに10冊以上も百合漫画を持ち込んでいたのです! いや、絶対に重いし、他に持っていくべきものあるでしょ、それ。

 それだけでなく、彼は30時間の道のりで持参した百合漫画をレビューしながら京都大学まで帰ってきたのです! これが百合文研会員の、そして百合文研会長の鑑……(多分違う)。

カーディナル会長のX(旧twitter)より。野外で実質R18百合を読むのはまさに、百合文研会員の鑑。

 そんなネタとしてのコンセプトも面白いこの1コマなのですが、それ以上に創設当初からこのサークルに参加してきた私はこの1コマにネタ的な面白さだけでなく、ある種の感動も覚えました。

 実はこの1コマ、カーディナル君が会長に就任して1週間ほど経ったタイミングでされたツイートで、時期もあり、私の目には百合文研の世代交代・新しい時代を感じさせる1コマのように映ったのです!

 今年は、毎年一人ずつくらいしか1回生が入らなかった弊サークルとしては異例なほど、しかも積極的な1回生がたくさん入り、Liliology vol.3の「百合姫20年分全部読む」など、これまでだと絶対にできなかったような企画をはじめとして百合文研に新しい風を吹き込んでくれました。そんな百合文研の新しい時代を感じさせる1コマとして、このコマを選びました。

 

 

ミジンコの選んだ1コマ:『ブルーアーカイブ

「ブルーアーカイブ」 メインストーリーvol.3「エデン条約編」 三章「ポストモーテム3」より。

 「ブルーアーカイブ」 メインストーリーvol.3「エデン条約編」 三章「ポストモーテム3」より。

 桐藤ナギサと聖園ミカ、幼馴染だった二人の関係性の変化を活写した一幕です。お互いにどんな気持ちを抱いているかとかこれからの関係はどうなるのかといったことを考えて脳を焼かれてしまいました。「幼馴染」という関係の重み、いいですよね……。

 

 

月海の選んだ1コマ:『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』

ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』より、8月度Fes×LIVEの一幕。

 「いま」を描く青春学園ドラマ『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』より、8月度Fes×LIVEの一幕。

 「蓮ノ空」の他ユニットが4月には結成されていたのに対して、7月に大沢瑠璃乃さんが加入、8月に藤島慈さんが休部から復帰しユニット結成、と遅咲きのユニット『みらくらぱーく!』。

 そんな彼女たちだが、メインストーリーに当たる『活動記録』9、10話で描かれた「幼馴染み」という間柄な二人の互いに向ける想いの交錯や葛藤、その上でユニット結成に至るまでの物語は圧巻という他なかった。

 

 さて、今回1コマに選んだのは、そうしてみらくらぱーく!が結成した直後のFes× LIVEで披露された『ド!ド!ド!』のラスサビ前の1シーンである。数年の月日を経て再び隣同士に立つこととなった二人の、互いに向けた満面の笑みに、視聴当時わたしは思わず感極まってしまった。

 また、パフォーマンス披露後のMCパートで語られた「『ド!ド!ド!』は再会するより1年も前に慈さんが作詞した楽曲である」という事実を踏まえてみると、この1コマはより味わい深く感じられることだろう。

 

 以上、蓮ノ空のこと好き好きクラブの一員からでした!

 

 

o.obscuraの選んだ1コマ:『アサルトリリィLast Bullet』

『アサルトリリィ Last Bullet』より

 本コンテンツはメディアミックス作品『アサルトリリィ』のゲームです。2023年のアサルトリリィは新たにノベルが発売されたり、舞台の公演や(リサナウト、女狐、etc)、ラスバレでは新メンバーの活躍など、引き続き盛り上がりを見せておりました。

 

 アサルトリリィの物語上の特徴としては、「世紀末」的な世界における命を懸けた戦いの中での女性同士の関係性の描写が中心となっている点でしょう。特筆すべきは百合ヶ丘女学院における「シュッツエンゲル制度」であり、上級生が特定の下級生の守護天使となって導く、という疑似姉妹のことです。ラスバレやアニメ「Bouquet」の主人公、一柳璃梨と白井夢結の「ゆゆりり」が代表例です。普段は姉妹以上の二人として共に過ごし、戦地ではお互いに背中を預ける唯一無二の関係性には尊いものがあります。  

 

 しかしながら、「教えて二水ちゃん」を含むさまざまな媒体で関係性が強く示唆されていながらも、シュッツエンゲルの契りを交わしていない上級生と下級生のカップリング(通称「早契島」)の存在は社会問題となっていました。その一つであった吉村・Thi・梅と安藤鶴紗の二人が2023年、ついにシュッツエンゲルの契りを交わしたのです!! 

 あまりの歓喜にスクショを何枚も撮ってしまいました。まず1コマ目はこちらの「たづまい」になります。

 

 

o.obscuraの選んだ1コマ:『BanG Dream It's MyGO!!!!』

『Bang Dream It's My GO!!!!!』最終話より

 続いて、『BanG Dream It's MyGO!!!!』から1シーンです。

 本作品は、これまでのBanG Dreamシリーズではあまり強調されなかった、バンドメンバーを中心とした登場人物間のギスギスした感情のぶつけ合いやすれ違いが頻繁に見られる点が特徴的です。開幕早々のバンド解散、主人公・燈の「一生バンドやろう」宣言、春日影ショック……、彼女らのすれ違いにより2023年最も百合オタクを悩ませたアニメでもありました(私見)。

 

 そんな『BanG Dream It's MyGO!!!!』からの1コマは、豊川祥子の「残りの人生、私に下さいませんか」という台詞です。この台詞だけでも百合っぽいのですが、実は彼女は主人公である燈がバンドを始めるきっかけとなったのに、燈たちを半ば突き放すような形でバンドを辞めて解散させてしまったのです。物語内の回想に出てくる祥子は燈の正ヒロインそのものであり、どうして冒頭のような悲劇が起こったのか、実は真相は謎に包まれており続編に期待であります。また、冒頭のバンド解散がなければMyGOは結成されなかったでしょうし、ある意味でMyGOは「祥子が始めた物語」です。

 

 さて、「残りの人生、私に下さいませんか」は、そんな祥子が新たに結成した「Ave Mujica」のメンバーを集める時に言ったセリフなのです。お気づきになりましたでしょうか……? そうです、燈がMyGOメンバーに発言した「一生バンドやろう」と対を為すセリフなのです。これは燈のヒロインであった祥子が、燈たちと決別して別のバンドを結成し、別の物語を始める象徴的なシーンでした。MyGOと対を為すヴィランとして(?)のAve Mujicaの歴史は、ここから始まったのです……。

 

 

まっつごーの選んだ1コマ:『スロウスタート

 

まんがタイムきらら』2024年1月号より

 圧倒的なインパクト。彼女は一体なぜこんな顔を……?

 

 『スロウスタート』はひょんなきっかけで高校浪人してしまった主人公・一之瀬花名があたたかい人間関係に囲まれながら日常を送り、少しずつではありますが人間的に成長していく物語です。今年で連載開始から十年、ですが作中の時間は一年目の冬……名実ともに「スロウ」な作品です。

 この世の終わりのような顔をしているのは花名の友達の百地たまて。入学式の日、慣れない高校生活に物怖じしていた花名に初めて声を掛けたかけがえのない友達です。おてんばな性格で花名の不安を吹き飛ばしてくれるような明るい子。

 そんな明るい彼女ですが、一人の転校生の登場で関係性は変化してしまいます。億果実……花名と「同い年」の高校二年生。彼女は親の都合で転校が多く、学校で本当の「友達」を作った経験がほとんどなく友達を半分諦めかけていました。しかし彼女は中学生のころちょっとしたきっかけで花名に助けられた経験がありました。感動の再会に、花名と果実の距離はどんどん縮まっていきます。二人しか知らないエピソードで盛り上がって笑いあう二人。そこにたまてが出くわします。

 関係性の変化、友達に新しい友達ができた……これは嫉妬なのです。普段は明るいたまてが花名を取られてしまった嫉妬に燃える表情は、関係性の変化を鮮烈に表現しています。

 

 

簡単なまとめ

 以上、9人の会員による、アニメ・MV・ソシャゲ・漫画twitterという実に多様なメディアから選ばれた11コマの紹介でした。

 そして今年も企画のまとめとして投票を行い、

 

 名誉会長のレニさんの推薦した『お嬢様と巨人』の1コマ

 

が、2023年版の、百合文研としての「私達で選んだ1コマ」ということになりました。今回選ばれたコマは来年度の百合文化研究会の活動にひょっとしたら再び顔を出すかもしれないので、皆さんも気にしてみてくださいね。

 

 ですが、去年も同じこと言ってた気がしますが、この企画はあくまで

『きもちわるいから君がすき』6話より

 「最強」という漠然とした争点の中でオリジナリティを競い、シェアするイベントだと思っています。

 今回紹介された11コマ、そのどれもに消費者を魅了する「熱」が詰まっていて、発表者一人一人にはその一コマに出会った時の『物語』がある。

 そんな会員たちのオリジナリティ溢れる『百合と過ごした2023年』の物語を、少しでも面白いと感じていただけたら幸いです。

 

 そして最後の最後に、最初の問いに戻ります。

 あなたの百合オタクライフにとって、2023年とはどんな年でしたか? 

 この記事が読者の皆さんも「百合と過ごしたご自身の物語」を振り返るきっかけになったり、2024年の新しい百合と出会う物語を始めるきっかけとなりましたら幸いです。