【百合マンガ大賞2021レビュー③】ふたりエスケープ

自己紹介

初めまして、京都大学百合文化研究会の周回積分です。まずは軽く自己紹介を。私は京都アニメーションのファンで、アニメ版の『響け!ユーフォニアム』を観て「なかよし川」のカップリングにはまり、そこから百合の世界へ入っていきました。このことからもわかる通り、「友達以上恋人未満」の同年代の女の子たちの関係が好きです。百合作品に限らずどんな創作もぼんやりと「面白いなー」と楽しんでいて、そこまでガチな考察などはあまり得意ではないので、このレビューは温かい目で見てくれるとありがたいです。

 

【8位】田口囁一『ふたりエスケープ』(百合姫コミックス)

 

それでは今回のレビューです。

この作品のテーマを一言で表すなら「現実逃避」。シェアハウスをしている、しょっちゅう締め切りに追われる漫画家がその先輩(無職)のアドバイス(?)で現実逃避をするというお話です。漫画を描くのがつらくなって、文明の利器を封印したり、締め切り直前で旅行に行ったり…と、様々な「現実逃避」を見せてくれます。

 

百合姫の連載ではありますが、百合は少なめでギャグ要素が多めです。体感としては『ゆるゆり』くらいの比率ですね。ギャグ部分は突拍子もないことをポンポンとやっていくので、軽快でとても読み進めやすいです。また、ちょこちょこギャグを小出しにして、最後に張った伏線を一気に回収する構成は『ゆるゆり』を彷彿とさせます(私があまりギャグマンガに詳しくないのでそう見えるだけかもしれませんが)。この伏線の回収の仕方と、最後のオチが次の話につながっていくあたりは、ストーリーの構成が非常にうまいです。

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シュールなネタがちょこちょこ入っているのも面白い

田口囁一『ふたりエスケープ(1)』(百合姫コミックス)

 

前にも述べた通り、この作品は百合要素が少なめです。しかも2人がどうしてシェアハウスをしているのかがわからないだけにおさまらず、登場人物の名前すら出てきません。この中からどうやって百合見出してレビューを書けばいいのか、わからん!私はどうすればいいんですか!ああああああ!となっていました。

 

ちょっと落ち着こう。作中の百合要素と言えば漫画家がちょっとくさいことを言って先輩が顔を赤らめたり、漫画家が先輩の絵を先輩に見られて恥ずかしがったりと、まあ普通に友達間でありそうな反応…いやそうなのか?「先輩がいれば絶海の孤島でも楽しくやれそうです」って友達に言われて顔を赤らめたりするのか?ただの友人とシェアハウスをするのか?これもしかして私の大好きな「友達以上恋人未満」なのでは?あぁ…好き…(好きな百合を見つけて砂となって消えていくオタク)。

基本的には友達同士で馬鹿なことをしているが、ときたま友達以上のような描写が入っていたり…さらには2人の名前や過去のかかわりが隠されていたりして読者側にいろいろと想像の余地が残される内容となっています(妄想がはかどる~!)。

 

このあたりで私の語彙力の限界が来てしまいました。これ以上書くとネタバレになりそうなので、私からは「ぜひ読んでください!」としかいうことがありません。拙い文章でしたが、ここまで読んでくださり、ありがとうございます。