【百合漫画大賞2021レビュー⑤】雨でも晴れでも

こんにちはこんにちは、会員No.146です。今回は百合漫画のレビューをします。

 

 

【第6位】雨でも晴れでも(電撃コミックスNEXT)

 以下Amazonにあるあらすじの引用

 

神社の娘で方言がコンプレックスな山田 美古都と、
仏頂面で周囲から恐れられる生徒会役員、猫崎 蓮。
全寮制の女子校”有頂天高校”で出会った彼女たちは、
毎日のように放課後をふたりで過ごしている。

ふたりの共通点は、ほかに友達がいないこと。
そしてお互いのことだけを、特別な友達だと考えていること。

「猫崎さんがわたしを見つけてくれた時ーー世界に色がついたんよ」
巫女装束だって関西弁だって、美古都さんの全部全部…かわいいって思ってたわ…」

ひとクセもふたクセもある少女たちの青春と心の交歓を描いた
百合恋愛コメディ『雨でも晴れでも』第1巻ついにリリース!! 

 

この漫画が同作者による『とどのつまりの有頂天』という漫画のリニュアール版となっています。

 

『とどのつまりの有頂天』は百合漫画大賞2019で大賞を受賞しています。この作品がコミカルなのに対し、『雨でも晴れでも』はどちらかというとしっとりしています。

 

 

 1巻時点では強い差異は見つからないですが、2巻になると明かに違うのでそういった面を見ながら読むのも面白いので、読み比べてみるのもよいと思います。

 

 

では作品の具体的なレビューに移ります。

 

ます感情の豊かさです。

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第1巻p4,5

感情が伝わってくる……!!

緊張→感激→嬉しいという気持ちの動きがよくわかります。これはキャラクターごとに向けていく感情にも言えることで同様です。また、キャラクターごとの感情表現もさまざまで、たとえばこの山田美古都は上のような身体で感情表現をしますが、彼女と対をなる猫崎蓮は顔に出くるという感じです。

 

それぞれのキャラクターたちは感情が豊かなので、ページをめくるごとに表情は目ぐるしく変化していきます。表情を追っていくだけども十分に楽しいです。

 

 

次にテンポの良さ。常時ハイテンションで話しは進んでいくのですが、その中でも各話ごとに溜めて、緊張し、解放する、というリズムを保っています。例えば1話では猫崎蓮が思わず山田美古都を抱きしめるシーンがあり、「どうなるんだ?」という緊張してページをめくると雪崩れこんでくる謎の学生たちがっ!とそれまでの空気を壊して弛緩させます。読んでいてここに気持ちよさを感じますね。

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さて最後に、この作品の百合的な面白さについて触れます。

先に要点をまとめておくとキャラクターたちのもつ強い感情で絶叫します。たとえば猫崎さんは美古都が他の人に可愛い可愛いと言われて照れているときに、(ずっと前からそう思っていたのに!!)というような反応をします。感情がデカい。BSSにも似たそんな思い、良いですね。

また2巻になると、好きな人に忘れられている!!と勘違いした人が、たとえ悪印象でもいいから私の存在を刻みつけてやると思い切った行動にでたりします。またそうやって私が喜ぶことをする。

 

 全体的に独占欲が強めなんですね。その感情を浴びるだけで満足します。

 そういった想いが伝わってくるから、まだくっつかないでいることにもどかしさを覚えます。でもそれが良いんだ……

 

以上で『雨でも晴れでも』のレビューを終わりにします。