クーケン島っていう、なんてことない島の
ラーゼンボーデンっていう、なんてことない村
そこで、なんてことないあたしは暮らしている
……なんてことない日々を変えたい、と焦がれながら
はじめに
お久しぶりです。京都大学 百合文化研究会所属のこぅせーと申します。以前台湾の百合漫画『綺譚花物語』を取り上げて以来 ですから……半年ぶりですか。本当にお久しぶりです。
なんでこうもいきなりブログを書き始めたのか、実は理由がございます。もう少しで我らが京都大学 では11月祭 、"NF"と通称される、それはそれはドデカイ学祭が11月の21日(金)~24日(月・祝)までの4日間で開催をされるわけでございます。
当然わたしたち百合文化研究会も毎度ながらこの学祭に出展予定で、会誌『Liliology』の第7号を作成しているわけです。本号の特集は「ゲーム百合」 、各種百合的な関係性が出てくるゲームに注目を当てております。色々な記事が書かれており非常に賑やかな内容になっておるのですが、実は私、言ってしまえば「鉄板ネタ」ともいえるゲーム×百合のネタがあります。私の時間的余裕など色んな理由で今回の会誌への寄稿を見送らざるをえなかったのですが、「記事にはできなくとも、ブログならば書けるんじゃないか?」と思ったわけです。そのゲームこそが……
「ライザのアトリエ」であります
(コーエーテクモゲームス 公式サイトより引用)
コーエーテクモゲームス の「ガスト」ブランドが展開する人気RPG 、「アトリエ」シリーズ。素材を集め、錬金術 を行い、強いアイテムを精製し、ストーリーを進めていく……このシステムが最大の特徴です。その「アトリエ」シリーズ史上最高の出荷数を誇るのが2019年から23年まで展開された「ライザのアトリエ(無印)」、「ライザのアトリエ2」、「ライザのアトリエ3」からなる「秘密」シリーズでございます。
私が始めたのは昨年9月末のことです。以前から気になってはいたのですがStealのセールで「1」が67%オフ、「2」が60%オフ、「3」が40%オフ、三作でだいたい6000円ちょっと……「この機を逃す手はない!」私は気づいたらファミリー〇ート田中御蔭通 店でSteamギフトカードをしっかと握りしめておりました。そこから、1年以上、ノートパソコンのスペックとカクカクと格闘しながら進めていき、今年の10月半ば、ようやくクリアし終えたわけです。いやぁ……楽しかったぁ……。
確かにライザのアトリエは百合ゲーではありません。女性同士の関係性が主軸であるストーリーではありませんし、どちらかというとライザを始めとする登場人物たちの成長が描かれていきます。
しかし!!!
物語の中核ではなかったとしても、確かに作品世界に、特別な女性同士の関係性は現れているのであります。「ライザのアトリエ」の百合的な魅力を、一人でも多くの読者に伝えたい!!!なんとかして!!!そのようなアツイ思いをエンジンとして、本稿を書いているわけです。
ライザリン・シュタウトとクラウディア・バレンツ
ここまで前置きを長々と書いてきたわけですが、それではどういう関係があるのか?手始めにキャラク ターを紹介していきましょう!一人目は本作の主人公、彼女がいなければ始まらない!「ライザ」ことライザリン・シュタウト でございます。
ライザリン・シュタウト CV:のぐちえ り (「ライザのアトリエ3」公式サイトより引用)
彼女こそ「秘密」シリーズの主人公であり、「秘密」シリーズは彼女の成長と共に物語が進んでいきます。
冒頭の独白は作中で彼女が行うものですが、まさにその通り普通の女の子。湖に浮かぶクーケン島という小島のラーゼン・ボーデンという町の農家に彼女は生まれました。何か冒険をしたい、幼少期からそう思ってきた彼女ですが村社会ではそう気軽にできるはずもなく……。同年代の悪ガキどもとつるんで悪戯をするくらいが関の山です。そして出会ってしまったわけです。錬金術 に。「なんてことない日々を変える」魔法を手にした彼女はその出会いをきっかけに、真夏の大冒険へと駆け出していくわけです。
そんな彼女の相棒ともいえる存在、彼女こそが本稿のもう一人の主人公、クラウディア・バレンツ です。
クラウディア・バレンツ CV:大和田仁美 (「ライザのアトリエ」3公式 サイトより引用)
ライザと同い年の彼女は、取引のためにラーゼンボーデンへとやってきたバレンツ商会のご令嬢。名家のお嬢様です。田舎のおてんば娘とおしとやかなお嬢様のやりとりって鉄板ですよね。「1」の序盤で彼女もまたライザと出会い、その後数シリーズに及ぶ交流を彼女と交わしていきます。
両者の紹介が終わったところで、作中世界で5年間に及ぶ、彼女たちの物語を概観していきましょう。
※以下ネタバレ注意※
ネタバレが嫌な方は、「おわりに 」まで目を瞑りながら読んでください。
邂逅 『ライザのアトリエ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』
ライザとクラウディア、二人の物語はある森の中から始まります。先述しました通り、ライザは生まれてこの方クーケン島から出たことがありません。しかし冒険盛りのライザは幼馴染のレントとタオを従え、島の対岸へと冒険に向かいます。初めての場所、初めての光景。そして鬱蒼と茂った森の中で、魔物に襲われる一人の少女と出会います。そう、このときライザたちが助けた彼女こそが、隊商の列からはぐれてしまったクラウディアでした。二人はこのとき17歳。この瞬間からライザとクラウディアの数年間に及ぶ関係が始まるのです。
運命の出会い (「ライザのアトリエ」より引用)
クラウディアは父・ルベルトの商談の関係で、長期間クーケン島に滞在することに。そしてライザと交流を行い、関係を深めていきます。ライザたちの話を聞き、ライザたちの拠点づくりにも協力し……そうした中で冒険をするライザたちへの憧れが強くなり、自分も冒険に参加したいという思いを強くします。しかし父が許すわけもありません。そんな様子を見たライザはクラウディアが自分たちについて冒険ができるように、自分が彼女を守ることができることを証明するため、ルベルトの出す試練をこなしていき、見事彼女を外の世界へと連れ出すことに成功するわけです。
各地への遠征、次々浮かび上がる謎、強敵との闘い、紆余曲折の末に冒険が終わり、クラウディアはまたもや親の商談の関係で島を離れることに。二人は再会を誓い、真夏の大冒険はいったん幕を下ろします。
二人は再会を誓いあう (「ライザのアトリエ」より引用)
と、ひとまずここまで「ライザ1」の話をあっさりと書いてきましたが……はっきり言います。「ライザ1」の時点では百合らしい百合はありません。 まずここで定義しておきたいのが、私の考える百合というのは「女性同士の強い絆の結びつき」 のことであります。その関係となりますと、別に恋愛に限定された話じゃあございません。相棒やライバルなんてのもここに入ってくるわけです。そうやって考えてみると、「1」の時点におけるライザとクラウディアの関係ってどうしても”友達"を越えてこないわけですな。確かにクラウディアが、家族にすら隠しているフルートの演奏をライザにだけ聞かせる、などのシーンはあります。しかし友達を越える重い相手への感情が出てくるか、となるとどうしても疑問符がつかざるをえないわけです。
「じゃあここまで話を書いてきた必要なんてなかったやんけ!」 という声も聞こえてきそうですがまぁそう早とちりなさるな、お兄さんお姉さん方。この「1」のストーリーが後々の「2」、「3」の話をしていく上での前提となってくるわけでございますよ。肝要なのは「クラウディアにとって、ライザは初めてのちゃんとした友達である」 という点です。「2」で明らかになるのですが、クラウディアは旅商人の一族である関係で一ヶ所に長く留まる経験をあまりやってきませんでした。現代で考えると転勤族、と言ったところでしょうか?そして長居をしたこの小島で初めてできた同年代の女の子の友達、そして自分を冒険に連れ出してくれた友人、それがライザリン・シュタウトだったわけです。この流れを入れておくと「2」、「3」の話が飲み込みやすくなります。
再会、そして葛藤 『ライザのアトリエ2~失われた伝承と秘密の妖精~』
どうも、本編と申します。
やってまいりました、「ライザのアトリエ2」。「1」と違って「2」の舞台は王都アスラ・アム・バート!その名の通りライザの暮らす国の首都、湖に浮かぶなんてことない小島とは大違いです。当然「1」と比べてCPUの数も段違いで私のノートパソコンはプレイ中、ずっとカクカクと悲鳴を上げていました。 「1」の冒険から3年後、ライザは島の権力者の命で王都へ赴くことになり、そこで出会った不思議な生物「フィー」の謎を解き明かすために奔走します。そしてこの「王都」で運命の再開を果たすわけです。誰にかって?ここまで読んできた読者さんならもうお判りでしょう。クラウディア・バレンツ、その人であります。
ライザと離れていた3年間、クラウディアの彼女に対する思いが驚くほど重くなっている点が注目に値します。
まず一点目、この3年間、クラウディアは初めての友達の一人であるライザに手紙を出していたことが明かされます。遠く離れた親友との文通。ファンタジー 作品あるあるですね。それではクラウディアは一体、どれほどの量の手紙をライザに送っていたのでしょうか?実際のゲーム画面を見てみると……
(「ライザのアトリエ2」より引用)
多くない!?!?!?!?
『広辞苑 』とタメ張れんじゃないかくらいには多いぞ。たった3年間でこの量とは……敏腕商人の矜持といったところか。ただ、よく考えてほしい。この会話がなされているのは王都アスラ・アム・バート。そう、クーケン島からは遥かに離れているのである。ライザもライザでこの量の手紙をクーケン島からわざわざ持ってきたのである。クラウディアと出会えるかどうかもまだわかっていなかったのに。 旅先に持っていく程度には手紙がライザの中で意味を確立しているというわけですな。
ライザへの矢印が可視化されるエピソードはこれに留まりません。本作では新規キャラク ターとしてパトリツィア・アーベルハイム(通称パティ)という女の子が登場します。パティはライザの妹分のような存在なのですが、ライザがパティと親しげに会話をしている様子を見てこう一言。
クラウディア「……ライザ、なんだか楽しそう。パトリツィアさんが可愛いのかな。って、私ったらなに考えてるの!?」
一番右にいるのがパティ (「ライザのアトリエ2」より引用)
他にも「女にすぐ手を出す商人」の話題がライザとの間で上がったときには……
クラウディア 「ライザも、いい人だからって、簡単に付いていったらダメだよ?」
ライザ「う、うん 、わかった」
クラウディア「絶対だよ?ライザは可愛いんだから、 本当に気を付けてね?」
何があった、クラウディア・バレンツ。この3年間でライザへの感情がものすごく重くなっているのがこれらの部分からだけでもよく分かります。では一体なぜ?3年間という期間は確かに長いですが、では本当に長期間ライザに会えなかったという理由だけでこのような感情を抱くようになるのでしょうか?その答えは、終盤のライザに吐露した次の台詞に秘められています。
クラウディア「私は、そのうち王都を離れなくちゃいけないし、ライザだって、島に帰らなくちゃいけない。どっちが先になるかは分からないけど、私たち、また離れ離れになっちゃうんだよ?そうなったら……今度私たちが会えるのって何年後なの?今回みたいな偶然がなかったら、もしかしたら10年、ううん、それ以上会えないかもしれない……。……私ね、ちょっとだけ怖いの。ライザは私と違って、友達を作るのが上手だから。きっと、これからたくさん友達が増えると思う。でも……私は、友達を作るのって苦手だから……だから、今はライザのことを独り占めして、思いっきり楽しみたいんだ。 」
お、重い。ライザへの思いが重すぎる。そうなんです。クラウディアにとってライザは初めての友達です。そんな彼女は前へ前へと進んでいく。新しい人間関係を築きながら。しかし自分は?新しい友達を作れるかどうかわからない。そして親友とはまた会えるのかすら、会えたとしても彼女はまた別の友達と楽しくやっていて自分と仲良くしてくれるかもわからない……。そのようなクラウディアの懊悩がこれでもかと表現された名シーンです。「2」、確かに百合だ。
ではこの告白を受けた主人公は一体なにをやったのか?ライザはお得意の錬金術 を使って、色々考えた末にプレゼントを作り上げます。その名も「メモリアブレスレット」 。これを2つ、お揃いのものを 用意してクラウディアに片方を渡し、我らが錬金術 師様はこう言いのけます。
ライザ「次に会えるのが、たとえ何年後になったとしても、クラウディアはあたしの、特別な友達。それだけは、絶対に変わらないよ。何があろうと、絶対にね。これは、その約束の証……。だから、不安にならなくても大丈夫だよ。」
クラウディア「ありがとう……。私ね……ライザに、独占欲みたいなの感じちゃってた……そのせいでライザに心配かけちゃった。もう、ほんと恥ずかしい……。」
ライザ「……気にしないで。ずっと色んな所を旅してたクラウディアには、友達を作る余裕なんてなかったの、分かってるから。それでも、あたしと友達になってくれた。あたしはそれがとっても嬉しい。だからね、クラウディアがもう二度とそんな気持ちにならないように、ハッキリ言うよ。あたしは、これからも友達をたくさん作ると思う。クラウディアと、会えない間に……。それでも、クラウディアがあたしの大親 友であることは何も変わらない。だから、もう二度とクラウディアが不安な気持ちになったりしないように……こっちにいる間に、あたしのクラウディアの気持ち、しっかり伝えるよ! 」
よう言うた!!!!!!!!!
それでこそシリーズ歴代最多出荷数や。ライザリン・シュタウト、恐ろしい女……。いやもう流石としか言いようがない。最善手をしっかり指してくれる安心感よ。そしてこれを受けた後日の様子、ライザとクラウディアとの最後のキャラク エス トの様子がこちら
↓↓↓
(「ライザのアトリエ2」より引用)
いい笑顔!!!
いい話すぎる。両者は二人の世界に入っており、パティに呆れられております。まさに阿吽の呼吸。ツーと言えばカーと応ず。意気投合ここに極まれり。わだかまり も解け『ライザのアトリエ2~失われた伝承と秘密の妖精~』、これにて完結です。フィー?そんなものは知りません。このスチルがEDです。ちなみにここで作成したメモリアブレスレット、ちゃんと装備品です。私はしっかり二人に装備させてラスボスと戦ってやりました。本当に勝てなくて8回くらいやり直したけど……。強すぎるんだよ。
ここまでの流れを見てきたら、「2」におけるクラウディアがライザに向ける関係は恋情なんじゃないかという意見も出てくることでしょう。確かにその解釈は否定できません。先述の通りライザのことを「可愛い」と言及している部分もあり、嫉妬の炎を燃え滾らせている部分もあったわけですから。ただ、私はライザとクラウディアの関係を恋愛関係と見なすのは少し短絡的ではないか とも同時に思うのです。
何度も繰り返しています通り、クラウディアはライザにとって初めての友達。友達との距離感がどういうものかもわかっていない。親友に対して羨望嫉妬入り混じった思いを抱く経験は多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。特にクラウディアとの最後のキャラク タークエス ト(ライザとクラウディアが談笑をしているイラストのアレ)が以心伝心の友人という形で決着したところから見ても、両者の関係は恋愛の延長線上ではなく友情の延長線上として見るのが正しい んじゃないかなぁというのが個人的見解です。はい。異論は認めます。解釈バトルをやりましょう。受けて立ちます。
成長、自立、そして…… 『ライザのアトリエ3~終わりの錬金術 師と秘密の鍵~』
最終作「ライザのアトリエ3」の話をするとしましょう。本作は「2」から二年後、王都アスラ・アム・バートから再びクーケン島に舞台を移します。クーケン島の隣に突如として現れた謎の島々「カーク群島」の謎を解き明かすライザ最後の冒険です。そして今回も当然、ライザとクラウディアの両者が登場するわけです。初めて会ったときは17歳だった二人はもう22歳です。時の流れとは早いものだなぁ。私としてはシリーズ三部作のライザとクラウディアの関係性の中でも一番好きなのが「3」です。
「2」のクラウディアはライザに対して、「依存」とも表現できるものすごく重い感情を抱いていました。一方、「3」のクラウディアは違います。「2」のライザとの対話を通じて、そしてそこから2年の時を経て、自立する一方で確固とした信頼を持っています。それはライザも同様です。お互いがお互いに対して揺るぐことのない強い絆を持っているのです。「3」中に見えるいくつかのエピソードを紹介していきましょう。
「3」のあるシーンで縁談の話題が二人の間で出ました。クラウディア曰く、まだ結婚をするつもりはないと。というのも彼女は現在、仕事の方が楽しくて結婚などを考える余裕がないからだと述べます。しかし、それだけが全てではありません。クラウディアから、真の理由が述べられます。
(「ライザのアトリエ3」より引用)
「……でも、本当はね。まだライザとこうして一緒に冒険したかったからだよ。」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!言ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
結婚というのは人生の一大イベントであり、その後の自分の人生を決定づけてしまいます。加えて「ライザのアトリエ」のようなファンタジー 世界、多少なりとも封建的な部分もストーリーから感じ取れるこの世界観ならば、結婚というイベントは我々の想像より遥かに重大なことと捉えられているでしょう。実際、先述のパティやボオスという他のキャラも、名家の出身ということで結婚や縁談がストーリー中でしばしばまとわりついてきます。しかしクラウディア・バレンツはそのような一大事をいとも容易くはねのけるのです。今この瞬間で家庭に縛られるなんてまっぴらごめんだ。親友であり相棒でもある、一人の錬金術 師との冒険のために。個人的にシリーズ三部作の中で一番百合を感じたシーンはさらりと表明されたこの決意に他なりません。
他にも、ライザと共に外出したときのこと。クラウディアはいつもライザと出かけるときに準備を一瞬で終わらせます。いいとこのお嬢様だし、身なりも結構ちゃんとしている。普通に考えると田舎っ娘のライザと比べて外出の準備時間は比べものにならないはずです。ライザに「なぜそれほど準備に時間がかからないのか」と問われると……
(「ライザのアトリエ3」より引用)
このような「1」から脈々と続く「一番の友達」という面もまだ有しているわけです。これを聞いたライザも(そういうことだったんだ……。もう、クラウディアったら。) とまんざらでもないご様子。いい話です。
では、核心に入っていきましょう。「お互いがお互いに対して揺るぐことのない強い絆を持っている」 とはどういうことなんでしょうか。これがよく分かるのが物語最終盤、ED直前の二人の会話です。本作のラスボスを倒した後、ライザは冒険を終わらせることを決断します。5年間(現実時間だと「秘密」シリーズの開始から4年)に及ぶライザの戦いが終わりを迎えようとしているのです。共に一つの目的のために行動するということはなくなり、それぞれが元の生活、あるいは新たなる旅路へと戻っていきます。
クラウディア「お互い様で、自分の道を進む……だから、なのかな?」
ライザ 「何が?」 クラウディア「解散宣言の時…… 自分でも不思議だったんだけどライザに『一緒に旅をしよう』 って言わなかったなって」 ライザ「そういや、あたしも思いつかなかったな......でも、きっとそれって」 クラウディア「うん」
(「ライザのアトリエ3」より引用)
二人「もう一緒に旅をしているようなものだから!!」
ライザ「だね!まあ本当に困ったら、やっぱり集まってもらうんだけど」 クラウディア「頼るのに遠慮はいらない、 だよ。そうやって、時には離れて、時には一緒になって、ライザも私も他のみんなも、 自分の道を旅していく。 そういうものなんじゃないかな」
この部分だけでも凄く良い関係ですよね?で、このシーンは先述の「2」のクラウディアの葛藤とライザの思いを考えてみると、さらに味わい深くなります。「2」の依存から脱却し、「俺は俺の道を往く、だからお前はお前の道を往け」と言いのけてしまう覚悟を有した二人。自分たちの間には、絆という決して切れることがない糸が、見えないにしても確実に存在しているのですから。互いを一個の独立した存在として尊重し、その上で片方が存在を脅かされるようなときだけはすぐに駆け付けるという約束をする。ピンチのとき以外は別々の場所にいることでしょう。ライザは錬金術 師の、クラウディアは旅商人の道を進み続け、もしかしたらその道が交わることは今後ないのかもしれない。しかし、それでいいのです。二人は二人への思いを胸に、前へ前へと自分の冒険をやり続けるのですから。
こういう「普段は別々の行動を取っているかもしれないけれど相手を確実に信頼し、何かあったら駆け付け一緒に戦う」という関係が私は大好きです。「共闘」とか「連帯」とかって本当にいいですよね。恋愛とは質の異なる絆というのもあるんじゃないかと私は思うんです。ライザ、そしてクラウディア、本当にありがとう。ガストブランドよ、永遠に。
※以上ネタバレ注意※
ここから先は大丈夫でっせ
おわりに
いかがでしたでしょうか?今回ブログを書いてみてよく分かったのですが、想像以上に百合でした。いわゆるシスターフッド とか女性同士の連帯のようなジャンルが大好きなので(「リコリコ」、「アクアトープ」、「リボンの武者」などなど)二人の関係も非常に良いものだったなぁという所感です。本当に良かった……。「秘密」シリーズの魅力は上記のようなライザとクラウディアの物語だけでなく、いろいろあります。まさに総合芸術です。この1年間、色々ありましたけど確実に心の癒しの一部分になっておりました。
最後に、この記事を読んで「ライザのアトリエ」に興味を抱いた人がいるかもしれませんので、いくつかの紹介をしておきましょう。
まず「ゲーム本編やりたい!」という方には『ライザのアトリエ~秘密トリロジー ~DX』をオススメ致します。実は2025年11月13日、この記事が書かれているまさにそのタイミングでガストによって発売されます。「ライザ1」、「ライザ2」、「ライザ3」がそれぞれ追加ストーリー、新機能、さらに新規プレイアブルキャラを引っ提げてswitch2やPS、Steamに帰ってくるわけです。まさに「秘密」シリーズが盛り上がるこのタイミングですよ。始めるなら今です。ちなみにオリジナル版からのアップグレード、追加シナリオのDLC 販売はありません。私は先月「3」をクリアしたばかりですが、DX版を買うか真剣にお財布と相談する状況に陥っています。畜生。ありがとうガストブランド。
とても欲しいです (ガストショップより引用)
「まだゲームは始めなくていいかなぁ」という方にはぜひぜひアニメ版を見ていただきたい。こちら、2023年夏クールに放映されました全12話の作品です。製作はライデンフィルム 、だいたい「1」の中盤くらいまでがアニメ化範囲です。私は浪人期間、河合塾 のリフレッシュルームにて毎週、ニコ動のコメント付きで視聴しながら昼飯を食べるモンスターになっていました。はい。だいたいどういうストーリーなのかを知るにはうってつけです。「これを見て続きが気になる!」というのであればゲーム本編に進むのがいいかもしれません。ライザとクラウディアの交流も、あります。
もう2年前ってマジ??? (アニメ「ライザのアトリエ」公式サイトより引用)
で、「アニメもゲームもまだどうだろう」というそこのあなた!このツイートの漫画を読みなさい。こちら、歴代「アトリエ」シリーズのキャラク ターが出てくる『レスレリアーナのアトリエ』の公式Twitter なのですが、これまた本稿の執筆中、公式にライザとクラウディアの4コマ漫画が投下されました。「秘密」シリーズ界隈のTLが少しざわつきましたことは言うまでもありません。ここに紹介しておきます。
以上の紹介を以て本稿を終わらせたいと思います。今回ブログを通しで書いてみることで二人の関係性への理解というのがかなり深まったように思います。NF直前という時期にブログを書くことを許してくださった百合文研の皆様には感謝しかありません。次にいつ現れるかは分かりませんが、またどこかでお会いしましょう。
読者のみなさんも良き錬金術 &百合ライフを!!